ブッダが考えたこと
宮元啓一さんの『ブッダが考えたこと』(春秋社)を読んでいる。
宮元さんは最近見つけた方なのだが、歯に衣着せぬ語りっぷりが面白い。
「他の学者さんはぐじゃぐじゃ言っているけど、これが本当だよ」とすぱっと語る。
その断言がご自身のインド哲学の研究と知見から導かれただけに納得感がある。
ブッダの教えは実に説得力がある。
一切は苦・・・・
その一点を認めれば、あとはブッダ的な論理(此縁性論理)で「すべて」が導き出される。
しかし、イッキュウ(私)には、「一切が苦」とはまだ認めることができないでいる。
経験主義的にも、苦ではない、快はあるのではないか?と。
あと、輪廻転生という考え方もちょっと納得がいかない。
自我なるものを否定しているのに、一体、なんの実体が「輪廻」するのかがよく分からないのだ。
霊魂みたいなものを否定すると、輪廻転生はありえないのではないか。
だから、今のイッキュウが行っているのは、「一切は苦」と「輪廻転生」に留保しながら、仏教の自分に対する可能性について考えるということである。
ともあれ、「一切は苦」(一切皆苦)というのは、ちゃぶ台をひっくり返すような斬新(今でも!)かつ、魅力的な考え方ではあるのだが。
仏教に触れたい方には、宮元さんのこの本もお薦めである。
- 作者: 宮元啓一
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: 単行本
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