エストニアとリモートワークについて私が知っている二、三の事柄

エストニアと開発をしていたら、突如オフィスを失い、リモートワークになったCTOの日々のメモです。

"It's none of my business! Is it? "

今日は仕事の話。題辞として付けている文句は昨日パラパラ読んでいた石川啄木の歌集から。結構笑えるものもあって、本当は笑ってはいけないのかもしれないが、やっぱり笑ってしまえる。これを笑ってしまえる感性とは80年代前半から不可逆的に起きた感性の移動の結果だが、そんなことはともかく、啄木の感性ってすごく繊細で、もし今の世に生きていてもいい「歌い手」となっただろうな。

ところで日本で仕事と言えばスーツだが、今働いて会社が入っている「超高層インテリジェントビル」のカフェテリアで毎日ヘビーローテンションでそのうち歌詞を覚えてしまいそうな"Dragon Ash"様だが、彼らは一応びしっとスーツを着こなしている。どうしてスーツなのだろうか。勿論、いま流行のヒゲを生やして、頭はいま流行の爆発模様ではあるがスーツである。ヒット中の"Grateful Days"では"俺は東京生まれHIP HOP育ち、悪そうな奴はだいたい友達"なのに、"スーツ"である。これはどうしたことか。暑いぞ、真夏にスーツは。
おまけにサビでは "Thank you father, mother, and my friend"だから、「おやじ、おふくろ、ダチ、ありがとう!」である。この表現に悪意があるなら、「パパ、ママ、友人、ありがとう!」である。感謝するのは早すぎる気もするが、まぁ、これはどうでもよし。

「仕事」の話をする前に「語り手」たる僕の経済状況を示す。「僕」は一貫して去年から「退職金」やら「失業保険」やらの「具体的な金額」を提示しているがその理由はこうだ。
「仕事」の話とは多くは「金」の話だ。「金」の話をするのに具体的な金額を避けていては抽象的なものになる。それゆえ、多少露悪気味でも「金額」は提示すべき。
それを含めた語り手のデータは以下の通り。都内の私大に6年在籍した後、卒業。その後、コンピュータ会社にシステムエンジニアという職で勤める。この当時の年収は400万円代。3年働いた後に退職。1年ぶらぶらした後に再就職。やはりテクノロジー関連。現時点の年収は1000万円にはもちろんいかないと書いておくことにする。このような曖昧な言い方をしなければならないのも僕が現役の会社員だからだが、その理由は会社に入れば分かる。僕は隣の席の人の年収さえ知らない(知ることが難しい状況下にある)。
父親は特殊技能を持つ専門職に近かった。とある地方都市に持ち家があるが、僕が相続することはまずないだろう。相続するほどのものではないからだ。
年齢は20代後半。貯蓄は現時点ではほとんとないと言っていい。
以上が「語り手」のデータ。読み手はこのデータから来る「語り」の偏差を勿論読み取る権利がある。

次に現時点での「会社」、あるいは経済をとりまく状況。1999年現在、「資本」の動きはかつてなく流動化している。2点。
(1)言うまでもなく、ストックマーケットの様々な金融商品に代表される「金融資本」が市場を席捲しつつある。アメリカが仕掛けた「ストックの時代」だが、これは僕のような貯金のない働き手にとっても無関係ではない。サラリーマンの一発千金、2題噺は以下の2つしかない。
(a)「宝くじで3億円が当たったらどうする?」(笑)
(b)「ストックオプションがあればなぁ」(半分、真剣)
ちなみにストックオプションとは自社の株式を購入できる「権利」。これを行使して自社株を買い、それが上がれば大もうけが出来る(こともある)。80年代にはこれで家を買えた人が割といる。
ところで、最近僕に「ヘッドハント」を仕掛けてきた「人身売買屋」は、ずばり「その会社はまず<株>を社員に与える」と切り出した。ストックオプションではなく、そのものずばりの「株」だ。ちなみにその「人身売買屋」、もといコンサルタントアメリカ人だった。

(2)企業間はかつてないほどの「買収・合併」がめまぐるしい。インターネットでビジネスマガジンのようなものを購読していると、ほんとに毎日のように「買収・合併」がある。
これを書いているこの瞬間にも間違いなく、どこかの企業が他の企業に買収されているだろう。結果。かつてないメガ大企業が続々出現しつつある。「アイデアを持った小回りのきく会社」が持て囃されたのはいつだ?
このトレンドは、「企業のコスト削減」などを言われている。本当の理由。現時点でどの企業でも一番やっかいなのは人件費という固定費だ。大規模な「買収・合併」は、その規模に伴うレイオフが発生することが多い。しかし、アメリカでは失業率が低い?これは単純労働の需要を増やしたからであって、経済的格差の開きを許容するのは先進国の基本トレンド。もう一度結論。この流れは働き手には不利。不利という言葉が相応しくないのなら、きびしくて challengingな時代である。
ついでに言うと「能力給」というのも「労働の多様化」などが原因ではない。「人件費の削減」のためである。「能力給」でも持ち出さないと、もはや企業が維持できない「ベースアップ」なるものを無きものにできない。

(続きは明日以降)

今日は仕事の話。題辞として付けている文句は昨日パラパラ読んでいた石川啄木の歌集から。結構笑えるものもあって、本当は笑ってはいけないのかもしれないが、やっぱり笑ってしまえる。これを笑ってしまえる感性とは80年代前半から不可逆的に起きた感性の移動の結果だが、そんなことはともかく、啄木の感性ってすごく繊細で、もし今の世に生きていてもいい「歌い手」となっただろうな。

ところで日本で仕事と言えばスーツだが、今働いて会社が入っている「超高層インテリジェントビル」のカフェテリアで毎日ヘビーローテンションでそのうち歌詞を覚えてしまいそうな"Dragon Ash"様だが、彼らは一応びしっとスーツを着こなしている。どうしてスーツなのだろうか。勿論、いま流行のヒゲを生やして、頭はいま流行の爆発模様ではあるがスーツである。ヒット中の"Grateful Days"では"俺は東京生まれHIP HOP育ち、悪そうな奴はだいたい友達"なのに、"スーツ"である。これはどうしたことか。暑いぞ、真夏にスーツは。
おまけにサビでは "Thank you father, mother, and my friend"だから、「おやじ、おふくろ、ダチ、ありがとう!」である。この表現に悪意があるなら、「パパ、ママ、友人、ありがとう!」である。感謝するのは早すぎる気もするが、まぁ、これはどうでもよし。

「仕事」の話をする前に「語り手」たる僕の経済状況を示す。「僕」は一貫して去年から「退職金」やら「失業保険」やらの「具体的な金額」を提示しているがその理由はこうだ。
「仕事」の話とは多くは「金」の話だ。「金」の話をするのに具体的な金額を避けていては抽象的なものになる。それゆえ、多少露悪気味でも「金額」は提示すべき。
それを含めた語り手のデータは以下の通り。都内の私大に6年在籍した後、卒業。その後、コンピュータ会社にシステムエンジニアという職で勤める。この当時の年収は400万円代。3年働いた後に退職。1年ぶらぶらした後に再就職。やはりテクノロジー関連。現時点の年収は1000万円にはもちろんいかないと書いておくことにする。このような曖昧な言い方をしなければならないのも僕が現役の会社員だからだが、その理由は会社に入れば分かる。僕は隣の席の人の年収さえ知らない(知ることが難しい状況下にある)。
父親は特殊技能を持つ専門職に近かった。とある地方都市に持ち家があるが、僕が相続することはまずないだろう。相続するほどのものではないからだ。
年齢は20代後半。貯蓄は現時点ではほとんとないと言っていい。
以上が「語り手」のデータ。読み手はこのデータから来る「語り」の偏差を勿論読み取る権利がある。

次に現時点での「会社」、あるいは経済をとりまく状況。1999年現在、「資本」の動きはかつてなく流動化している。2点。
(1)言うまでもなく、ストックマーケットの様々な金融商品に代表される「金融資本」が市場を席捲しつつある。アメリカが仕掛けた「ストックの時代」だが、これは僕のような貯金のない働き手にとっても無関係ではない。サラリーマンの一発千金、2題噺は以下の2つしかない。
(a)「宝くじで3億円が当たったらどうする?」(笑)
(b)「ストックオプションがあればなぁ」(半分、真剣)
ちなみにストックオプションとは自社の株式を購入できる「権利」。これを行使して自社株を買い、それが上がれば大もうけが出来る(こともある)。80年代にはこれで家を買えた人が割といる。
ところで、最近僕に「ヘッドハント」を仕掛けてきた「人身売買屋」は、ずばり「その会社はまず<株>を社員に与える」と切り出した。ストックオプションではなく、そのものずばりの「株」だ。ちなみにその「人身売買屋」、もといコンサルタントアメリカ人だった。

(2)企業間はかつてないほどの「買収・合併」がめまぐるしい。インターネットでビジネスマガジンのようなものを購読していると、ほんとに毎日のように「買収・合併」がある。
これを書いているこの瞬間にも間違いなく、どこかの企業が他の企業に買収されているだろう。結果。かつてないメガ大企業が続々出現しつつある。「アイデアを持った小回りのきく会社」が持て囃されたのはいつだ?
このトレンドは、「企業のコスト削減」などを言われている。本当の理由。現時点でどの企業でも一番やっかいなのは人件費という固定費だ。大規模な「買収・合併」は、その規模に伴うレイオフが発生することが多い。しかし、アメリカでは失業率が低い?これは単純労働の需要を増やしたからであって、経済的格差の開きを許容するのは先進国の基本トレンド。もう一度結論。この流れは働き手には不利。不利という言葉が相応しくないのなら、きびしくてchallengingな時代である。
ついでに言うと「能力給」というのも「労働の多様化」などが原因ではない。「人件費の削減」のためである。「能力給」でも持ち出さないと、もはや企業が維持できない「ベースアップ」なるものを無きものにできない。

(続きは明日以降)