エストニアとリモートワークについて私が知っている二、三の事柄

エストニアと開発をしていたら、突如オフィスを失い、リモートワークになったCTOの日々のメモです。

若い青年と出会う

今日は午前中から午後にかけて、とある試験を受けました。
結果はどうかなぁ。もう、しばらく「試験」なんてものは受けたくないですね。僕たちは一生の間に何回ぐらいの「テスト」を受けているんでしょう? 入学試験、中間試験、期末試験、おきまりの英語検定TOEIC、入社試験。人生、色々大変です。

試験終了後、長田(さきの阪神淡路大震災ですっかり焼けてしまったところです。今は空き地が目立つものの、建物だけはかなり建ってきています)から神戸、元町、三宮と歩いていた時のこと。
新開地という昔の歓楽街(淀川長治さんが小さい頃に映画を見たのがここです。一時期さびれていたのですが、最近、「アートビレッジセンター」など文化施設が建ち、少し面白くなってきています)に差しかかった時。
白い紙切れをもった20代前半の男の子に声を掛けられました。ちょっと茶色を入れた髪を短めにカットした、人の良さそうな青年です。

青年「あの〜。このあたりってどこですか?」

紙切れを覗いてみると、そこは「福原」(全国でも有名な風俗店街。風俗店に勤務する女性から全国で初めてHIV感染者が出たところでも有名)の地図。「男たちの歓楽街」とかそんな雑誌からコピーしたのを持ってきたようです。ははぁん、お兄ちゃん、これから「そういうとこ」に行くのね、と思ったけれども、ここは紳士。表情を全く変えず、

「そこらへんなら、ここを付き合ったところをずっと左」

なんていう風に教えてあげました。しかし、こちらの視線がコピーした地図の店の並びに行っていることを感づいたのでしょうか。

「いや、ここらへんに行きたいんですけどね」

と風俗店のちょっと外れを指さす。「俺は地元の人間だ。そんなとこには何もあらへんことぐらい知っとるよ」と心の中で微笑しながら、もう一度同じ道順を教えてあげました。
「ありがとうございます」と笑顔で歩いていった青年ですが、次の交差点でやっぱり紙切れを見て右を向いたり左を向いたりしているのを見て、「左だよ。ずっと左。<道の左側を見てたらすぐ分かるよ>」と優しく声をかけてあげました。

初めての福原。青年にとってはちょっとした「冒険」なのかもしれません。雑誌からコピーした紙切れを手に、大枚をポケットに入れて、ですね。

「青年よ、大志を抱け」は今いづこ。