エストニアとリモートワークについて私が知っている二、三の事柄

エストニアと開発をしていたら、突如オフィスを失い、リモートワークになったCTOの日々のメモです。

partII Hamlet

梅田三番街シネマ3で、ケネス・ブラナーの『ハムレット』を観る。主役、つまりハムレット役のケネス・ブラナーがとにかく「うるさい」との前評判を聞いていたのだが、想像以上に大騒ぎ。「人間なんてあぁ、野獣と同じか」と叫ぶブラナーに「お前が野獣じゃ」と何度つっこみたくなったことか。ハムレット全編には確かに4時間は必要だと思うけれども、全体的に単調で、これ美術をPeter Greeneway(『枕草子』『コックと泥棒とその愛人』等の監督)にやらせて、ハムレットは、そうウッディ・アレンなんかやると最高だよな、うぅ、もう本を持って出てくる初登場画面だけを想像しただけで頬が緩んでくる、くくく、と全く別のことを考えて、4時間を過ごす。それでも、シェークスピアの台詞の力は偉大で、僕は何度となく「台詞に」じ〜んときたことも正直に言っておかなくては公平さに欠ける。The rest is silence...

最近、CAFE BBSによく来てくださる江戸力さんにすすめられるがまま、ハイエク(政治経済学者)の『隷属への道』(春秋社)を買って読み始める。献辞に「あらゆる党派の社会主義者に」と書かれているのがいい。確かに「一度でも社会主義に触れたあなたに」読んで欲しい。

《時間》
連日、PC論争継続中。

最近は有休も取らせていただいて、かなり時間的に余裕のある日々を送つてゐるはずなのだが、なぜか「時間がない」と思つてしまうのはなぜだらうか。
やりたいことがたくさんありすぎるのか、何か気があせつてゐるのか、とかく、「若い」といふことは大変なやうな気がして、心を整えるために吉田健一の『落日抄』(「吉田健一集成5巻所収)を読むと、求めた通り、そこには時間が流れはじめ、生きている感じがよみがへつてくる。
あるひは倉橋由美子の『夢幻の宴』などを読んで、「あちら」の世界から悪戯を仕掛けてくるやうな文章を読んでゐると、かうして好きな本をこのやうなところで紹介することにも何か引け目を感じてきたりもするのだが、あるひは、やはりこれは巧妙なエゴだらうか。本の名前も作曲家の名前も一切出さずとも「教養」のあると感じられる人がゐて、それは「教養」といふことのうちに含まれてゐるのだから、これは蛇足になる。こちらはすぐに読んだ本を見せびらかせやうとする傾向があるやうで、そのやうなことをしてゐるから時間がないやうに思へてくるのであり、かうして文章を書いていると時間を立つのを忘れ、そこには確かに時間が流れてゐる。