ここはどこでしょう?
はじめて降りる駅がまだ東京にはたくさんある。
『アル中詩人のためのレクイエム』
この世にこんな真面目な顔があるのかというような生真面目な顔で
金色の液体を五臓六腑に降り注いでいた
この世界にこんな律儀な儀式があるのかという丁寧さで
いつも煙草の火をもみ消す仕草
1分おきに
句読点を置くみたいに
散文しか書かない詩人
詩はとうの昔にアル中になったから
今の時代には散文ぐらいしか書けない
神経症的で躁鬱
時にはパニックなんぞを起こす優しい散文
たち
たまに音階を外すぐらいは
詩人じゃないから
ご愛嬌
でもアル中たちにだけは分かる
彼らの祖先は詩人たちなのだ
まだ酒とロマンと恋を語れた時代の
詩人たちの末裔が
ねじりはちまきで散文をばらまきながら
ゆっくりと
空を、
昇っていく。
☆